美容クリニックの経営で失敗しないために必要な経営戦略のポイントを紹介!

2023.02.20

経営戦略とは?

「経営戦略」とは、短期的でなく長期的に自身のクリニックの優位性を確立し、確立した優位性を持続させるための戦略のことを指します。

通常、企業は自身が生き残るために、競合他社との競争を勝ち抜いていく必要があります。その際に必要となる「経営目標」や「経営目的」を達成させるためのシステム開発や仕組みづくりが「経営戦略」にあたります。

経営戦略の立て方の流れ

では、実際に「経営戦略」はどのように立てていけば良いのでしょうか。最も重要なポイントは「現状分析」をすることです。

「現状分析」を徹底的に行うことで初めて、自身のクリニックの方向性が決まっていくといっても過言ではありません。 それにもかかわらず、「現状分析」を徹底しないまま、具体的な経営方針を決めてしまう方も多くいらっしゃいます。

しかし、満足に現状分析をしないまま進めてしまうと、結果として「撤退」を余儀なくされる可能性が高まってしまうのです。これを防ぐためにも、「3C分析」を行うことで、まずは市場調査を行い、顧客のニーズを確かめます。 そして「SWOT分析」も併用することで、「自社分析」につなげていくことが最善策なのです。

診療圏調査を行い、自院が出店しているエリアの情報を調査する

最初のステップとして、「Customer(顧客)」の分析を行なっていきます。特に美容クリニック等の開業を目指している場合は、「診療圏調査」を行う必要があります。

「診療圏調査」とは、開業しようとしているエリアにおいて、どの程度の集客が見込めるかといった情報を得るための調査のことを指します。 例えば、そのエリアに学校が多数存在したり、住宅街であったりする場合、集客対象となる患者層が大きく変動することはないでしょう。一方で、商業施設やアミューズメントパークがある場合には、人の往来が増加し、ターゲット層も絞り込みづらいと言えます。

このように、短期的な市場分析だけでなく、中・長期的な市場分析を行うことが重要なのです。そして、市場分析を行ったのち、ターゲット層のニーズを満たすための具体的な方針設計に入っていきます。

競合分析を行い、他院の状況を把握・分析する

最初のステップである「市場分析」で浮上した競合クリニック(「Competitor」)を、さらに細かく分析していきます。

具体的には、自身が開業しようとしているエリアを担当している製薬会社の方や薬局などから、競合クリニックに関する情報を引き出すことも1つの手でしょう。また、ホームページのチェックをすることも忘れないようにしてください。

ホームページからは、そのクリニックがどのような施術を得意とし、どの層をターゲットにしているか等、様々な有益な情報を得ることができます。その際に、Google等での口コミなども参考にすると、患者さん視点での良い点・悪い点を知ることも可能です。

自院の分析を行い、強みやアピールポイントを明確に

以上の2ステップを踏まえて、最終的に「3C分析」の3つ目にあたる「Company(自社)」分析を行なっていきます。

「Customer(顧客)」と「Competitor(競合)」に関する分析を終えた今、競合に勝つために自身のクリニックが取るべき戦略が少しずつ明確になってきているはずです。それらを利用し、しっかりと差別化を図ることで、自院のポジションを確立し、まだ競合が満たせていない患者さんのニーズにコミットすることが可能な「自社戦略」を立てていきましょう。ここで使用するのが「SWOT分析」です。

「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の4つに関する情報を明確にした上で、それらを「クロススワット」、つまり掛け合わせることで自社が取るべき戦略を明確にしてくれる分析方法です。

掛け合わせ方には全部で4種類あり、具体的には、「強み×脅威:自院の強みを活かして脅威に対処する」「強み×機会:自院の強みを活かして機会を最大化させる」「弱み×脅威:自院の弱点を克服して脅威に対抗する」「弱み×機会:自院の弱点を克服して機会を最大化させる」が挙げられます。

このように、「自社分析→具体的な戦略」とするのではなく、「市場分析→競合分析→自社分析→具体的な戦略」とすることで、より確実で効果的な戦略を立てることが可能となるのです。

美容クリニックで他院との差別化を図り、経営を安定させるための経営戦略のポイント

厚生労働省「令和2(2020)年医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況」によると、現在、診療科目に美容外科の記載があるクリニック・診療所の数は、美容外科医の数を1.5倍近く上回っているというデータがあります。

これは、美容外科医だけでなく、皮膚科医や形成外科医でも美容外科を標榜することが可能であることが1つの理由として挙げられるでしょう。つまり、美容外科を掲げるクリニックが乱立している現在、競争が激化している現状があります。

こうした現状を踏まえ、「美容クリニック」として、競合と差別化を図るにはどのような経営戦略を取れば良いのでしょうか。ここでは5つ紹介していきます。

専門性を打ち出し、ナンバーワンを目指す

「どのように競合と差別化すれば良いかわからない」「どうブランディングをしていけば良いのかわからない」といった悩みを抱えているならば、まずは「専門分野に特化したクリニック」とするのはどうでしょうか。

具体的には、「二重整形専門」や「豊胸専門」などです。もちろん、専門分野に特化することで、逆に患者数が減少してしまうのではないかといった懸念もあるかと思います。しかし、患者さん(二重整形を希望していると仮定)の視点で見ると、「多分野での施術を網羅的に行なっているクリニック」と「二重整形に特化し、専門的に行なっているクリニック」とでは、どちらで治療を受けたいと考えるでしょうか。

多くの患者さんは、「専門分野に特化しているクリニック」を選ぶでしょう。このように、一見リスクの高い戦略のように見えますが、狭い分野であればあるほど「ナンバーワン」を狙いやすくなるのもまた事実です。 特化した分野で「ナンバーワン」を獲得することができれば、大幅な集客効果となることは明白ではないでしょうか。

女性だけではなく、男性に特化した美容クリニックへシフトする

先程の専門性関連で、「男性をメインターゲットとした美容クリニック」にすることも、近年の動向に沿った効果的な戦略の1つと言えるでしょう。

近年の男性の美容意識の高まりは言うまでもありません。さまざまなSNS等の広告媒体でも、男性をターゲットとした広告を見かけることが多くなってきました。それと共に、美容クリニックを利用する男性が増加していることもまた自明です。

まだまだ将来的に見ても、男性の美容クリニックに対するニーズは増加していくと予想できるため、早めのうちに「男性向け美容クリニック」として打ち出していくのも1つの手段と言えるでしょう。

得意な施術や利益率の高い施術に注力し、売上・利益率を拡大する

経営を安定させるために重要なポイントである「売上・利益率の拡大」に直結する戦略として、「独自の強み(バリュープロポジション)」を確立させることが挙げられます。

自身のクリニックが得意とする施術を集中的に行うことで、その施術分野での症例実績を積むことができ、結果的に「二重整形といえばこのクリニック」のようなブランディングの形成につながります。

また、1人1人の患者さんに適した、プラスアルファの診療を提案することなどによる「1人あたりの単価・利益率アップ」も効果的です。もちろん、高額な治療を強引に進めたり、虚偽の説明をしたりすることは言語道断です。しかし、しっかりとカウンセリングを行うことで、患者さんの持つ潜在ニーズを引き出すことができ、結果的に利益率の拡大につながるのです。

電子カルテなどを活用し、院内の業務効率化を促進し、余分な人件費を削減

近年の技術の進歩に伴い、カルテも紙媒体ではなく、電子媒体が主流となっています。電子媒体でカルテを管理することで、他のスタッフとの共有もスムーズに行うことが可能となり、結果的に全体の業務効率化につながります。

また、カルテ管理に必要な人材も削減することが出来るため、人件費の削減にもつながるでしょう。

既存顧客との関係値を構築し、リピーターに繋げる

1度の施術のみで終わらすのではなく、その患者さんにあった施術を提案できるかどうかで、リピーター獲得率は大きく変わってきます。

リピーターを獲得できればできるほど、安定した売上につながります。そのためには、その患者さんが実際に行った施術とうまく結びつくような提案ができるシステム作りができているかがポイントとなります。

例えば、「ニキビ跡治療」を受けた患者さんにとって、最も興味がある治療としては「肌質改善」などの治療が挙げられるでしょう。しかし、貴院がその患者さんにとって「肌質改善」を受けるメリットが生まれないシステムしか無い場合、そこで患者さんとの関係は終わってしまいます。 これを防ぐためにも、患者さんの潜在ニーズを満たすことが出来るシステムづくりはもちろん、患者さんの潜在ニーズを引き出すための関係作りが必要不可欠なのです。

ポイントカードやクーポンにより、次回来店を促進する

先程、リピーターを獲得できるか否かが、経営安定に大きく影響を与えることをお話ししました。その一環として、ポイントカードやクーポンを導入することもリピーター獲得に直結する戦略として有効です。患者さんに直接関わるメリットを提示することで、次回来店につながりやすいのです。

SNSやメールを活用し、キャンペーン情報を発信する

直接メリットを提示する方法として、SNSを利用し、治療から一定期間経った後でDMを送ることも有効な手段であると言えるでしょう。また、比較的低コストで行うことが出来るという点も魅力的であると言えます。

まとめ

美容クリニックが増加している中で、自社が差別化するためには、「市場分析・競合分析」を基にした「自社分析」が最も効果的です。また、先に開業を行なっている知人からのアドバイスを得ることも有効な手段の一つです。

様々な分析や調査を行った上で、自社に最適な経営戦略を策定できるようにしていきましょう!